テクニカル分析の基本【MACD】の使い方・注意点とは?

MACDの解説

株式投資をする際に、みなさんはテクニカル分析を必ず学習すると思いますが、その中でも多くの方に使われている指標がMACDです!

この指標は、トレンド系(オシレーター系の対)の指標と言われていて株価のトレンドの転換点を見つけたり、トレンドの強さ測ることができます。

このブログでは、MACDの意味から、計算方法、そして使い方まで解説していこうと思います。

トレンド系の 移動平均線 (MA) と オシレーター系の 相対力指数(RSI) の使い方に関しては別の記事で紹介していますので、ご興味がある方はこちらの記事を読んでみて下さい。

特に移動平均線は、MACDと少し似た使い方をするので上の記事は役に立つと思います。

それでは以下の目次に沿って始めていきましょう!

目次

MACDの意味、計算式

MACD とは、Moving Average Convergence Divergence (移動平均収束拡散手法)の略であり、2つの移動平均線が近づいたり離れたりすることでトレンドの流れ、転換点を見つける指標です。

MACDについて説明する前に、MACDで使用されるEMAについて説明します。

計算式は以下のようになっています。

ここで使われる 指数平滑移動平均線 ( EMA : Exponential Moving Average )とは、一般的に使われている単純移動平均線 ( SMA : Simple Moving Average )と比べてより値動きに近い動きをします。

なぜならば、EMA の計算式では最新の値の影響を受けやすいようになっているからです。

SMAとEMAの違いを、n日目の5日移動平均線の計算式を例に説明していきます。


【単純移動平均線 SMA 】

\[
SMA_n = \frac{P_{n-4} + P_{n-3} + P_{n-2} + P_{n-1} + P_n }{5}
\]



【指数平滑移動平均線 EMA 】

初回(ここでは5日目)のEMA

\[
EMA_5 = \frac{P_1 + P_2 + P_3 + P_4 + P_5 }{5}
\]

初回以降 n日目のEMA 

\[
EMA_n = \frac{EMA_{n-1} + EMA_{n-1} + EMA_{n-1} + EMA_{n-1} + P_n + P_n}{ 5 + \mathbf{1} }
\]


~ 用語説明 ~

[latex] SMA_n [/latex]:n日目のSMA

[latex] EMA_n [/latex]:n日目のEMA

[latex] P_n [/latex]:n日目の終値


SMAは5日間の終値を足して、日数の5で割った平均値を算出しています。

それに対して、EMA は1日前のEMAと直近の終値を2つを足しており、その分日数の5に1を足した6で割った平均を算出しています。

また、初回のEMAはSMAと同じ計算式です。

EMAの1つ目の特徴は、前日のEMAを使用して平均をとることです。SMAではn日目までの連続した終値で平均を取りますね!

EMAの2つめの特徴は、割る日数がSMAより1日多いことです。これはn日目の終値を2つ足している分、日数を調整することが目的です。またSMAでは日数で割ります。

これら2つの特徴によりEMAは、SMAよりも直近の終値の影響を受けやすくなります

それでは、実際の値動きを表と図でみていきましょう。


株価SMA EMA
1日目1

2日目10

3日目100

4日目1000

5日目100002,2222,222
6日目10000022,22234,815
7日目1000024,22026,543
8日目100024,40018,029
9日目10024,22012,053
10日目1022,2228,039
表 10日間の価格と移動平均線の推移

図 5日目からの株価、SMA, EMA


今回は、6日まで10倍単位で上がっていき7日目から 1/10倍になるという推移でSMAとEMAを比較してみました。

表と、図から分かるように初期値は、同じでそれ以降は、株価の暴騰に対してEMAがSMAよりも早く追いついており、暴落に対してEMAはSMAより早く下がり始めています。

EMAはSMAよりも株価に近い動きをすることを数字で判断することができましたね!

続いて、MACDの説明をしていきます。まずMACDの計算式をいかに示します。


【MACD 計算式】

MACD = 短期EMA - 長期EMA

MACDシグナル = MACD の EMA


上記の式から、MACDは、MACDMACDシグナルの2つの計算式で成り立っているのがわかります。

実際に使う時は、この2つの線の動きを見て売買判断を行います。

1つ目のMACDは、短期のEMAから長期のEMAを引き算したものになります。この値がプラスであるということは、長期EMAに対して短期EMAが上昇しているということなので、上昇傾向と判断することができ、逆にマイナスだと下落局面であると判断することができます。

2つ目のMACDシグナルは、MACDのEMAを計算した値です。

なぜ長期EMAと短期EMAの差をさらにEMAにしたものが必要なのでしょうか?

それは、MACDの信頼度を上げるためです。

MACD単体でも、2つのEMAによって構成されていますから、トレンドを見る上では十分信頼度はあります。

しかし、EMAの特性上、SMAよりも値動きに左右されやすいので、突発的な動きに過敏に反応してしまうことがあります。

そこで、MACDのEMAを取ることによって突発的な動きではなく、長期的なトレンドとしてどのように動いているかを見ることができるようになり、MACDの信頼度を上げることができます。

ここまでが、MACDの計算式と意味の説明になります。

それでは、次の章でMACDの使い方について解説していきます。



MACDの使い方

使い方① ゴールデンクロス・デッドクロス

1つ目の使い方は、ゴールデンクロスでデッドクロスでの売買です。

まずゴールデンクロスとは、MACDがMACDシグナルを下から上にクロスすることを言います。(下図の黄色○

反対にデッドクロスは、MACDがMACDシグナルを上から下にクロスすることを言います。(下図の水色○

使い方① ゴールデンクロス・デッドクロス

これは、移動平均線と同様で、これまでのトレンドが逆になるシグナルなのですが、このタイミングで売買すると100%勝てるかと言われるとそうではありません。

クロスは、結構頻繁に起きるからです。

そこで、クロスの信憑性を高めるために以下のことを考慮します。

  • 高値圏でのデッドクロス
  • 安値圏でのゴールデンクロス

MACDのクロスは、頻繁に起きますが長期的に見ると高値圏や安値圏でのクロスはかなり信憑性があることがわかっています。

以下の図を見て頂けると、MACDのクロスの高値圏は53以上、安値圏は-36以下であることがわかり、その付近でのクロス後はしっかりトレンドが転換しています。

MACDは、トレンド指標ですがこのようにオシレーター指標と同じような使い方をすることで売買タイミングを見つけることができるのです。

使い方① ゴールデンクロス・デッドクロス

使い方② 0ラインの上抜け、下抜け

続いての使い方は、2つの線が0ラインを上抜ける、下抜けるという売買タイミングに関して説明します。

MACDの説明でもありましたように 0 のラインは、短期EMAと長期EMAの上下関係が変わるラインです。

0ラインを上抜けることは、短期EMAが長期EMAよりも大きいということなので、上昇傾向であることを示します。

逆に 0 ラインを下抜けることは、短期EMAが長期EMAよりも小さいということなので、下降傾向であるということを示します。

これに加えて、MACDシグナルもMACDと同様に0ラインを上抜け、下抜けするとMACDのトレンドの転換を表し、信頼度が上がります。

実際に2本線が上抜け(黄色)と下抜け(青色)する例を見てみましょう。

使い方② 0ラインの上抜け、下抜け

ここでは青色がMACDで、オレンジ色がMACDシグナルです。見て頂けると分かる通り、上抜けしてからは更に上昇傾向が続き、下抜けしてからは下降傾向が続くということがわかります。

しかし、もみ合い相場の場合、2本の線が共に0ライン付近を行き来するので、この売買タイミングではMACDは使えません

注意点① 騙しのtouch & Go

1つ目の注意点は、ゴールデンクロス、デッドクロスを見極める際に、2本の線が近づいた後に、再度トレンドが始まる場合があります。

時には、デッドクロスした後にゴールデンクロスする場合もあるので、クロスを見極める際には注意が必要です。

使い方② 0ラインの上抜け、下抜け

注意点② ボックス相場では使えない

ボックス相場では、価格変動が小さいという特徴があります。

このような状況では、MACDとMACDシグナルが0ライン付近で推移するので、トレンドができるまでは売買を控えることをおすすめします。

またボックス相場の場合は、トレンド系指標よりもオシレーター系指標のほうが有効なので、RSIやボリンジャーバンドなどを使うことをオススメします。

まとめ

さて今回は、トレンド系指標のMACDについて解説してみました。

移動平均(MA, SMA)とよりも価格の動きに敏感な指数平滑移動平均(EMA)を用いたMACDは、トレンド系指標ですがオシレーター系指標の考え方も取り入れることで売買タイミングを確かなものにすることができます。

そしてMACDは単体よりもその他の指標と同時に使いうことでさらに売買タイミングを確かなものにできますので、その他の記事も読んでみて下さい!

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

残り一日、良い一日をお過ごし下さいませ!

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