日経平均の銘柄選び みなし額面、除数、株価換算係数を使った計算方法について徹底解説

日経平均の採用基準、みなし額面、除数、株価換算係数を使った計算方法

日経平均株価は、日本の各業界の代表的な銘柄の値動き総合的に表す重要な指標です。

経済ニュースなどでは、毎日のように取り上げられる日経平均ですが、その銘柄がどのように選ばれているか、またはどのように計算しているのかを正しく理解している人は多くないんです。

このブログでは、日経平均株価に採用されている銘柄の採用基準と、指数の計算方法についてくわしく解説します。

日経平均について、経済への理解が深まり投資判断に活きてくるので、是非一緒に学んでいきましょう!

それでは以下の目次に沿って始めます。

目次

日経平均株価とは

日経平均株価とは東京証券取引所第1部に上場している銘柄から225個の銘柄を選び出し、その株価を使って算出される指数であり、日本の各業界の代表的な株価の動向を示すものです。

正式な呼び名は 日経平均株価

ニュースなどでは 日経平均日経225

などと呼ばれています。


そして軽い問題なのですが、この指数はどこの機関が算出していると思いますか?

そりゃまぁ一番大きな取引所の東京証券取引所が算出しているんじゃないの!!

と僕も思っていました。

半分正解です。

実際にこの指数は、算出開始時の1950年9月7日から東京証券取引所によって算出されていました。

しかし、1970年から日本経済新聞が算出しており、現時点でも日本経済新聞によって算出しています。

それでは、日経平均にはどのような銘柄が選ばれるのでしょうか?

日経平均は、東証一部の2183社(2022/2/9 時点)の中から、市場流動性が高く、各セクターを代表するにふさわしい銘柄が選ばれる。

市場流動性とは以下の2つの指標を使って判断されます。

  • 売買代金(単位 円) : いくら買われたか
  • 売買高(単位 株)あたりの価格変動率 : 1株あたり何%値動きしたか

簡単に言うと、東証一部の2183社のうち1日にたくさん売買されて、株価がよく動く銘柄が選ばれているということです。

それでは、一度選ばれた銘柄はずっと日経平均株価の算出に使われるのでしょうか?

それは違います!!

去年のニュースなどで任天堂やキーエンスが採用されたというニュースなどを目にした人もいるかと思います。

実際に、日経平均株価の算出に選ばれた銘柄は、毎年10月に行われる「定期見直し」と上場廃止などの構成銘柄が取引できなくなる場合にその空きの分の銘柄を採用する「臨時入れ替え」によって、見直しされます。

この定期見直しは、7月末時点での構成銘柄の状況を調べて、それぞれの構成銘柄は市場を代表するべきものなのかを市場流動性を指標に判断し、セクターごとの銘柄数のバランスを見ながら市場流動性の低いものを高いものに入れ替えるというものです。

また、2021年から定期入れ替えの市場へのインパクトを抑えるため、入れ替え銘柄数を3つに制限しています。

実際に2020年と2021年に行われた定期入れ変えにて、採用された銘柄と不採用になった銘柄を見てみましょう!


2020年定期入れ替え

採用銘柄 : ソフトバンクグループ (9984)

不採用銘柄 : 日本化薬 (4272)


2021年定期入れ替え

採用銘柄 : キーエンス (6861)、任天堂 (7974)、村田製作所 (6981)

不採用銘柄 : 日清紡ホールディングス (3105)、東洋製缶ホールディングス (5901)、スカパーJSATホールディングス (9412)

正しい計算方法

前章で日経平均の意味、採用基準や入れ替えを理解しましたね!

続いて、日経平均の計算方法について、説明しようと思います。

ここで質問なのですが、SNSにて「日経平均は単純平均をとっているから、ファーストリテイリングなどの株価が大きいもの(値がさ株)からの影響が大きい!」などと言っている人を見かけます。

確かに、日経”平均”という名前なので、平均値をとっていると見られるのも理解できます。

しかし、これは大きな間違いです。

日経平均は単純な平均であれば「株式を分割したら日経平均株価は大きく下げる」ということになりますね!

では実際どうなのか見ていきましょう!

まず株式分割を少し説明します。

1株式をn分割する場合、株価を1/n倍にして同時に発行株数をn倍にします。

株価が下がれば、「その価格なら買える」という投資家が増えてより多くの投資家に売買されるため売買代金が上がり、それに伴って値動きが激しくなり価格変動率も上がります。そしてさらに分割前の株価で4倍の数の株が動くので、売買高も高まり、その結果上で説明した市場流動性が高くなるのです。

株式分割の例でいうと、Sansan (4443) は2021年の11月30日に1株を4株に分割を行い株価 が1/4倍、発行株数が4倍になりました。


発行株数 4倍

分割前 31,195,831株

分割後 124,783,324株(4倍)

株価1/4倍

分割前 株価 12520

分割後 株価 3130(1/4倍)


そしてここで株価に注目すると、株価は12520円から3130円になったので、-9390円(-75%)という大暴落となりますが、これはそのまま日経平均に反映されて日経平均は暴落するでしょうか?

答えは No です。

株式分割をしても実質的な企業の価値は変わらないので、それで日経平均が上下してしまうのはおかしいことですね。

このような株式分割の影響をなくすために、日経平均の算出に関わるみなし額面や除数というものを調整しているのです。

それでは、日経平均株価の正式な計算式をいかに示します。

日経平均株価の算出方法は、2021年10月に新しものに変わったので、両方とも説明します!


2001年10月 〜 2021年10月1日

構成銘柄の採用株価 = 株価 × 50 ÷ みなし額面

日経平均株価 = 構成銘柄の採用株価の合計 ÷ 除数

2021年10月1日〜

構成銘柄の採用株価 = 株価 × 株価換算係数

日経平均株価 = 構成銘柄の採用株価の合計 ÷ 除数


この株価換算係数とは、2020年10月1日に導入されてものであり、それ以前は株価をみなし額面を50円に調整するという方法で調整していました。

少し前まで使われていたものから新しいものへの順(額面→みなし額面→除数→株価換算係数)で説明していきます。

額面とは?

2001年10月の商法の改正までは、各社の株式には額面というものがありました。

株式を発行して会社をたてるとき株券1枚あたりの値段が書いてあり、それが額面です。

額面が500円なら、投資家は1株につき500円支払って設立を支援していました。

そしてこの額面の種類は主に20円、50円、500円、50000円の4種類のありました。

みなし額面とは?

そして2001年10月から額面というものがなくなり、無額面株式というものが採用されました。よって額面制度は消えたのですが、日経平均を算出するために額面というものは必要なので、あたかも額面が存在しているようにそれぞれの株式に額面を与えたもの、それがみなし額面です。

なぜ額面が必要なのでしょうか。

上で額面の説明をしましたが、額面は企業が単に会社を設立する際に発行した値段であり、実質的な企業の価値を表すものではありません。

よって、例えば日経平均を計算するときにみなし額面が50円と50000円のものを足して、2で割るということをすると50000円の額面の株に大きく影響されるという事になってしまいます。

これではフェアではないですね!

よって、これらの影響度をできるだけ統一するために、以下のようにすべてのみなし額面を50円に調整してから平均を取ります。

このようにすることで、みなし額面の違いの影響をなくして各企業の価値が平等に日経平均に反映されるようになります。

構成銘柄の採用株価 = 株価 × 50 ÷ みなし額面

またみなし額面は、上記で説明した株式分割による影響をなくすために調整されることがあります。上記のsansanを例に出すと、sansanの分割前のみなし額面は50円だったとすると株価が1/4になる影響を打ち消すためにみなし額面を4で割って12.5にしたりします。

これなら、上記の式でsansanの株価を採用株価にする時、株価に50 / 12.5 = 4 を掛けることになりますからね!

除数とは?

除数と漢字で書くとなんだか難しげですが、実際は株価の合計を割る数字です。225銘柄の平均なので、普通に考えたら225が除数になると思いますよね!

日経平均が誕生した時は、その通り225でした。しかし、その後株式分割や株式併合などによって起こる株価変動をなくすために、除数の修正というものが行われました。

株価がA社500円、B社200円の時の平均は

(500+200)÷2=350円 

しかし、B社が株式分割を行い1株100円になった場合、除数の2を変更して1.71にして平均が350円になるように調整します。

(500+100)÷1.71=350

このような調整の結果、2022年2月9日時点での除数の値は、28.373となっています。当初の225からだいぶ小さくなりましたね。この除数は、分割したら下がって、併合したら上げて調整するので、小さくなっているということは併合よりも分割が多く行われているということがわかりますね!

株価換算係数とは?

最後に、株価換算係数とは指数の計算に用いる採用株価を調整するためのものであり、0.1〜1の範囲で0.1刻みで設定されます。

採用時の株価は市場価格を原則(株価換算係数は1)として使うことになっているが、もしも異常に高い場合は一定水準より下となるように株価換算係数を設定します。

この水準とは、7月末の基準日時点で日経平均構成銘柄の採用株価合計(みなし額面で調整された株価の合計)の1%のことであり、この1%の価格を超えている場合は、株価換算係数に1以外の値(0.1〜0.9)を設定して株価に掛けることで基準の1%以内にします。

例えば、ある銘柄の株価が2000円だとして、日経平均構成銘柄の採用株価合計が100,000円だとします。

ここで日経平均構成銘柄の合計値の1%は、100,000円 ×1%=1000円であり、銘柄の価格はこの1000円を超えてはいけません。

そこで、ある銘柄の株価2000円に株価換算係数の0.5をかけて1000円を超えないようにします。

株価換算係数の計算式は、以下のようになります。

株価換算係数 = 日経平均構成銘柄の採用株価合計 × 1% ÷ 新規採用銘柄の株価

=100,000 × 1% ÷ 2000

=0.5

2021年10月までは、みなし額面を50円に設定して株価の水準をそろえていたので、株価換算係数が導入されたときはその時点の構成銘柄に対して設定されていたみなし額面を基準にして、調整後の株価が原則として同じになるように株価換算係数を設定されました。

それではもう一度上の式を復習してみましょう!

最初よりは理解できるようになったと思います!


2001年10月〜2021年10月1日

構成銘柄の採用株価 = 株価 × 50 ÷  みなし額面

日経平均株価 = 構成銘柄の採用株価の合計 ÷ 除数

2021年10月1日〜

構成銘柄の採用株価 = 株価 × 株価換算係数

日経平均株価 = 構成銘柄の採用株価の合計 ÷ 除数


まとめ

今回は、日経平均株価が単純な平均ではない理由や正しい計算方法について、まとめてみました。

日経平均は、当初設定された額面の違いや株式合併や分割の影響をみなし額面、株価換算係数、除数の3つを調整することでなくしていました。

このように指数の計算方法を正しく知っていくと、日頃のニュースについてより深く理解できるようになったり、投資判断に活かしたりすることができるのでとても面白いですよね。

このブログでは、今後も世界のあらゆる指数の計算方法や、投資信託の解説など投資初心者のための情報をまとめていきますので、面白いと思った方はぜひまたいらしてください!

それでは、本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

残り一日も良い一日をお過ごしください。

友達にシェアしてみて
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次