米国の代表的な株価指数S&P500は投資に興味がある方は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この指数は米国の大型株の動きを総合的に表す指数なので、時々ニュースなどでも日経平均などとともに報道されていますね!
しかし、中型株のs&p400や小型株のs&p600についてはあまり聞かないと思いますので、こちらのブログではS&P500, S&P400, S&P600 の説明から銘柄の採用条件、構成銘柄TOP10、パフォーマンスや連動する投資信託やETFまですべてをまとめました!
この3つの指数を理解しておくことで米国経済全体の動きを把握することができるようになるので、是非読んでみてください!
それでは、下の目次に沿って説明します。
S&P500・S&P400・S&P600とは?
S&P500とは
S&P500とは米国市場の大型株のセグメントのパフォーマンスを表す指数であり米国市場の時価総額の80%をカバーしています。
米国の大型株500銘柄で構成されており、日本で言うTOPIX指数と同じ計算方法で算出されている米国の代表的な株価指数となっています。
S&P500に含まれている銘柄は、世界的に有名な企業である必要はなく、下の条件にあっていれば採用されます。
【採用条件】
- 米国の企業である
- 時価総額(株数×株価)が131億ドル以上の大型株
- 浮動株比率が50%以上
- 企業は、直近の四半期および直近の4四半期(合計)がプラスである必要がある
- 流動性が高い
- クローズド・エンド型ファンド、ETF、ADR、ある特定の証券でないこと
※太文字の用語は下に解説しています。クリックするとその用語の解説のところにジャンプします。
S&P500のその他の情報を下の表にまとめます。
S&P500 | |
---|---|
計算方法 | 浮動株時価総額加重平均 |
構成銘柄数 | 505 |
最大時価総額 | 28,675 億ドル |
平均時価総額 | 795 億ドル |
最小時価総額 | 36 億ドル |
基準日 | 1928年1月3日 |
算出開始日 | 1957年3月4日 |
銘柄の見直し頻度 | 4回/年(3月、6月、9月、12月) |
重みTOP10銘柄が全体に占める割合 | 29% |
【用語説明】
浮動株とは市場で流通しており、売買される可能性がある株式。反対に、取締役や役員が持っていて市場で流通していない株のことを固定株という。
クローズド・エンド型ファンド(投資信託)とは投資信託を運用している会社が、投資家の解約請求に100%応じることを保証しないファンド(投資信託)のことをいいます。投資家の突然の解約がないので、その分安定した運用ができるというメリットがあります。
ETFとは Exchange Traded Fund (上場投資信託)であり、商品は投資信託と似たような指数に連動するものがあるのですが「上場しているので株式と同じように市場でリアルタイムで売買できる」とうい点で違いがあります。
ADR(american depositary Receipt : 米国預託証券)とは米国ではない外国企業や、米国企業の外国法人
子会社が発行する有価証券(株など)をニューヨーク証券取引所で取引できるようにしたもの。
NISAなどの投資信託においてS&P500と同じくらい人気であるオルカンについてパフォーマンス比較を行っていますので、投資信託を選ぶ参考にしてください!
S&P400とは
s&p400とは米国市場の中型株セグメントのパフォーマンスを表す指数です。米国の中型株400銘柄で構成されている。
- 米国の企業である
- 時価総額が36億ドル 〜 131億ドルの中型株
- 浮動株比率が50%以上
- 企業は、直近の四半期および直近の4四半期(合計)がプラスである必要がある
- 流動性が高い
- クローズド・エンド型ファンド、ETF、ADR、ある特定の証券でないこと
S&P400のその他の情報を下の表にまとめます。
S&P400 | |
---|---|
計算方法 | 浮動株時価総額加重平均 |
構成銘柄数 | 400 |
最大時価総額 | 186 億ドル |
平均時価総額 | 65 億ドル |
最小時価総額 | 16 億ドル |
基準日 | 1991年7月1日 |
算出開始日 | 1991年6月19日 |
銘柄の見直し頻度 | 4回/年(3月、6月、9月、12月) |
重みTOP10銘柄が全体に占める割合 | 6.2% |
S&P600とは
s&p600とは米国市場の小型株セグメントのパフォーマンスを表す指数です。米国の小型株600銘柄で構成されている。
- 米国の企業である
- 時価総額が8.5億 ドル〜 36億ドルの小型株
- 浮動株比率が50%以上
- 企業は、直近の四半期および直近の4四半期(合計)がプラスである必要がある
- 流動性が高い
- クローズド・エンド型ファンド、ETF、ADR、ある特定の証券でないこと
S&P600のその他の情報を下の表にまとめます。
S&P600 | |
---|---|
計算方法 | 浮動株時価総額加重平均 |
構成銘柄数 | 601 |
最大時価総額 | 66億ドル |
平均時価総額 | 19億ドル |
最小時価総額 | 1億ドル |
基準日 | 1994年12月30日 |
算出開始日 | 1994年10月28日 |
銘柄の見直し頻度 | 4回/年(3月、6月、9月、12月) |
重みTOP10銘柄が全体に占める割合 | 5.2% |
セクター比率
続いて、各S&P500, S&P400, S&P600それぞれ指数のセクターが指数全体の時価総額に占める割合を比較してみましょう!
続いて、割合を比較しやすいように棒グラフで示しました!
これを見るとS&P500は情報技術セクターの割合が28.7%と他のセクターと比べて圧倒的に高いことがわかります。後ほど出てきますが、この情報技術セクターにはGAFAMのApple, Microsoft やGPUの販売などを手掛ける大手半導体メーカーのNvidia などが含まれます。
S&P400は資本財が19%と最も高くなっています。建築用やプレハブコンポーネントなどを販売するビルダーファーストソースやリサイクル材料から作られた木造複合デッキを販売するトレックスなどが含まれます。
S&P600は金融セクターが19.7%と最も高いです。そして資本財セクターが16.6%と続きます。
重みTOP10の銘柄
1つ前の章でセクターごとのバランスを見たので、続いてS&P500, S&P400, S&P600 それぞれの指数の重みランキングTOP10の銘柄を見ていきましょう!
時価総額が大きければ大きいほど重みが高くなり、指数の値動きへの影響が大きくます。
特にS&P500は、重みTOP10銘柄が指数全体に占める時価総額の割合が29%にも及ぶため、指数に非常に大きな影響をもたらします。表を見てみると巨大テック企業のGAFAMに自動運転の電気自動車を主力としているテスラ、投資の神様バフェットが率いるバークシャーハサウェイなどが含まれます。
セクターとしては、情報技術、電気通信サービス、一般消費財の順に多いです。
S&P500 重みTOP10 銘柄 | セクター |
Apple Inc (AAPL) | 情報技術 |
Microsft Corp (MSFT) | 情報技術 |
Amazon.com (AMZN) | 一般消費財 |
Alphabet Inc A (GOOGL) | 電気通信サービス |
Tesla, Inc (TSLA) | 一般消費財 |
Alphavet Inc C (GOOG) | 電気通信サービス |
Meta Platforms, Inc. Class A (FB) | 電気通信サービス |
Nvidia Corp (NVDA) | 情報技術 |
Berkshire Hathaway B (BRK.B) | 金融 |
Johnson & Johnson (JNJ) | ヘルスケア |
続いて、S&P400はTOP10銘柄の指数全体の時価総額に占める割合は6.2%と低めですが、セクターで最も高い割合の資本財セクターの銘柄が多く見られます。それぞれの企業を見てみると、建物や施設を建設するプロセスの中で使用される製品を提供している会社が多く見られました。
ビルダーファーストソース(BLDR):新築の住宅用のプレハブ部品や関連建材などを販売する
トレックス(TREX):リサイクル材料から作られた木造複合デッキて手すりを販売している
ノードソン(NDSN):米国で接着剤、塗料、ポリマー、塗布機器、検査機器やその他関連製品を製造、販売する
グラコ(GGG):液体や塗装剤のための機器の製造、さらにシステムなども開発しており、販売している
S&P400 重みTOP10 銘柄 | セクター |
Molina Healthcare (MOH) | ヘルスケア |
Camden Property Trust (CPT) | 不動産 |
Builders FirstSource (BLDR) | 資本財 |
Trex Co (TREX) | 資本財 |
Masimo Corp (MASI) | ヘルスケア |
Medical Properties Trust (MPW) | 不動産 |
Nordson Corp (NDSN) | 資本財 |
Cognex Corp (CGNX) | 情報技術 |
Graco Inc (GGG) | 資本財 |
Repligen Corp (RGEN) | ヘルスケア |
S&P600はTOP10銘柄の指数全体の時価総額に占める割合は5.2%と最も低い指数です。TOP10銘柄に時価総額比率が最も高い金融セクターの銘柄は見られませんでしたが、金融に続いて高い比率を占めている資本財や情報技術の銘柄はいくつか見られました。それら4つの企業を下に紹介します。
そして以外だったのが、セクターの比率は11セクター中7位のエネルギーセクターの銘柄が一番多く見られたことでした。
ボネージ(VG):消費者や通信事業者にクラウド通信サービスを提供する北米のテクノロジー企業
ロジャーズ(ROG):電子部品や機能性樹脂材料を製造、販売するメーカー企業
エクスポーネント(EXPO):エンジニアリングや科学の分野でコンサルティングサービスを提供する企業
UFPインダストリーズ(UFPI):木材や木材加工品などを製造し、建設、工業や小売の3つの市場の顧客に販売する企業
S&P600 重みTOP10 銘柄 | セクター |
Omnicell Inc (OMCL) | ヘルスケア |
PDC Energy Inc (PDCE) | エネルギー |
Vonage Holdings (VG) | 情報技術 |
Rogers Corp (ROG) | 情報技術 |
Exponent Inc (EXPO) | 資本財 |
UFP Industries, Inc (UFPI) | 資本財 |
Matador Resources Co (MTDR) | エネルギー |
Range Resources Corp (RRC) | エネルギー |
AMN Healthcare Services Inc (AMN) | ヘルスケア |
Balchem Corp (BCPC) | 素材 |
パフォーマンス
ここでは、大型株指数のS&P500、中型株指数のS&P400、小型株指数のS&P600の年ごとの10年間のパフォーマンスを見ていきましょう。
今回比較するデータは、下の3つです。
- 年ごとのリターン
- 数年間の年率リターン
- 年初来リターン
それでは初めに、年ごとのリターンを見ていきましょう。その年ごとに一番高いリターンを出している指数に黄色マーカーを引いています。
下の表から見るてS&P500は2012年、2013年、2016年以外の7年間もっとも高いリターンを出し続けています。経済成長している時は大きなリターンを生み出し、経済衰退している時は損失を一番抑えることができています。
S&P500に含まれている銘柄は時価総額が大きくなっても、非常にアグレッシブに成長し続けていることがわかります。
年 | S&P500 [%] | S&P400 [%] | S&P600 [%] |
---|---|---|---|
2012 | 13.37 | 16.09 | 14.83 |
2013 | 29.62 | 31.62 | 39.53 |
2014 | 11.41 | 8.15 | 4.37 |
2015 | -0.73 | -3.68 | -3.35 |
2016 | 9.53 | 18.7 | 24.7 |
2017 | 19.41 | 14.42 | 11.73 |
2018 | -6.25 | -12.52 | -9.73 |
2019 | 28.87 | 24.05 | 20.85 |
2020 | 16.25 | 11.81 | 9.59 |
2021 | 26.9 | 23.19 | 25.26 |
続いて、数年間の年率リターンを見ていきましょう。年率リターンというのは、ある一定期間の中での1年間あたりのリターンを表しています。こちらも、最も高い年率リターンを出している指数に黄色マーカーを引いています。
結果を見てみると、どの期間においてもS&P500が最も高い年率リターンを出していることがわかります。本当に優秀な指数ですね!
S&P500 [%] | S&P400 [%] | S&P600 [%] | |
1年間の年率 | 21.57 | 12.62 | 9.3 |
3年間の年率 | 18.64 | 12.82 | 11.62 |
5年間の年率 | 14.66 | 9.33 | 9.27 |
10年間の年率 | 13.15 | 10.9 | 11.38 |
そして、最後に2022年の年初来パフォーマンスを見ていきましょう。2022年初めは、FRBの利上げやウクライナ情勢などで、米国の株価指数は軟調でしたが、ロシアのウクライナ侵攻が本格化し始めたところで、その先にくる景気減速を理由に「FRBが積極的な利上げはしないだろう」と予想され、売り込まれてきたグロース株が急回復しています。
そんな中での2022/ 2/ 27日時点の年初来リターンは下のようになっています。
年明けからは、S&P500が一番売り込まれています。そしてS&P600、S&P400の順になっています。これは恐らく2022年の年初はグロース株が売り込まれていたので、指数の30%くらいを占めているGAFAMやテスラ、NVIDIAなどのグロース株が値下がりしたのが原因だと考えられます。
その後の、値動きも反映していきますので、また見に来てください!
指数 | 年初来[%] |
S&P500 | -8 |
S&P400 | -6.35 |
S&P600 | -6.49 |
おすすめ・レバレッジ投資信託とETF
最後に、これまで紹介してた3つの指数に連動する投資信託やETFについてまとめてみました。
ここで紹介する投資信託、ETFはすべて楽天証券にて購入可能です。
もしも指数そのものを購入したいと考えている方はCFDの記事を参考にしてみてください。
それでは、まず投資信託から見ていきましょう。
投資信託
s&p500
ここにはS&P500に連動する投資信託2つと、2倍の値動きをする投資信託を1つまとめています。S&P500に連動する2つのうちおすすめなのは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。理由は、もう1つの投資信託と比べて、手数料が半分以下でありアルファの値が高いからです。アルファについて詳しく知りたい方は、アルファの解説記事を見てみてください!
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) ←おすすめ
管理費用 0.0968%
分配金 なし
アルファ 6ヶ月:10.34、1年:9.86、3年3.84
- iFree S&P500インデックス
管理費用 0.2475%
分配金 なし
アルファ 6ヶ月:10.21、1年:9.71、3年3.73
また1倍では物足りないとうい方は、2倍の値動きをするiFreeレバレッジ S&P500(2倍)も検討してみてください!
- iFreeレバレッジ S&P500(2倍)
管理費用 0.99%
分配金 なし
ETF
S&P500
続いて、S&P500に連動するETF ついてまとめます。
ここではS&Pに連動する3つのETFと、3倍連動のSPXLと−3倍連動するSPXSについて紹介します。
まず連動するETFで一番おすすめなのは、分配金利回りが一番高いSPLGです。ETFのパフォーマンスを比較した記事は別の記事で書きますので、気になる方はまた見に来てください!
- iシェアーズ・コア S&P 500 ETF (IVV)
経費率 0.03%
分配金利回り 1.35%
- SPDR ポートフォリオS&P 500 ETF (SPLG)←おすすめ
経費率 0.03%
分配金利回り 1.41%
- バンガード・S&P 500 ETF(VOO)
経費率 0.03%
分配金利回り 1.40%
また、上昇相場が来るとなった時は3倍の値動きのSPXL、下落相場が来そうだなってなった時はSPXSなども検討してみてください!
ただ、とてもリスクの高い商品なので、損切りのルールをしっかり決めて購入することをおすすめします。
- Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(SPXL)
経費率 0.90%
分配金利回り 0.15%
- Direxion デイリー S&P 500 ベア3倍 ETF(SPXS)
経費率 0.95%
分配金利回り 0%
S&P400
続いて、S&P400に連動する3つのETFを紹介します。この3つの中で一番おすすめなのは、スパイダー社のSPMDです。理由は最も経費率が低く、分配金利回りが高いからです!
- iシェアーズ・コア S&P 中型株 ETF (IJH )
経費率 0.05%
分配金利回り 1.32%
- SPDR ポートフォリオS&P 400中型株式ETF(SPMD)←おすすめ
経費率 0.05%
分配金利回り 1.38%
- バンガード・S&Pミッドキャップ400 ETF (IVOO)
経費率 0.10%
分配金利回り 1.26%
S&P600
最後に、S&P600に連動する3つのETFを紹介します。
この3つの中で一番おすすめなのは、IJRです。経費率はSPSMよりも0.01%高いのですが、分配金利回りが他の2つよりも高く、SPSMよりも0.14%も高いので経費率の差を考えてもIJRのほうがおすすめします!
- iシェアーズ コア S&P 小型株 ETF (IJR)←おすすめ
経費率 0.06%
直近配当利回り 1.70%
- SPDR ポートフォリオS&P 600小型株式ETF(SPSM)
経費率 0.05%
直近配当利回り 1.56%
- バンガード・S&Pスモールキャップ600 ETF(VIOO)
経費率 0.10%
直近配当利回り 1.29%
まとめ
今回は、米国の大型株の代表的な指数のS&P500と中型株S&P400と小型株S&P600についてまとめてみました。この記事で、それぞれの指数の採用条件やセクター比率、TOP10銘柄、そして連動するETFと投資信託まで沢山紹介しました!
それぞれの指数のセクター比率から見える指数の特性や、時価総額が大きい大型株のS&P500が一番パフォーマンスがよかった点など、知れば知るほど興味深い内容でしたね!
こちらのブログが、みなさまにとって少しでもお役に立てたのなら嬉しいです。
今後も、様々な指数や投資信託、ETFなど投資初心者が知ると投資が楽しくなるような情報をまとめていきますので楽しみにしていてください。
また他にも色々なブログを書いているので、もっと色々知りたいという方はのぞいてみてください!
それでは、最後まで読んでくださりありがとうございます。
本日も残り1日、良い1日をお過ごしください!